公生くんに連れられてやってきたのは、喫茶店だった。
見た目は、おしゃれで、でもどこか古臭くて、きっと繁盛してないけど、いい感じの音楽を流してそうな、そういうお店だった。
そして、看板には、さっき公生くんが言った言葉、『レインリリー』の文字があった。
「ここだよ」
公生くんの後について、私たちも入店する。カランコロンといい音が鳴る。
店内に入ると、『レトロ』という言葉がぴったりなほど、古くて、でもその古さが味を出している。
カウンターには、5、60歳くらいのおじさんがいた。
「公生か。いらっしゃい」
「おじさん。コーヒー3つ」
公生くんは、そのおじさんに注文をすると、4人掛けのテーブル席に座り、そのテーブルを指差した。
「ここ」