「あのさー」




公生くんがお皿を拭きながら、言った。




「何?」




「実は、俺……その……さ」




これって、まさか、告白!?




「……にんじん、嫌いなんだよね……」




へ?




「で、でも、全部食べて……まさか、無理して?」




公生くんが申し訳なさそうに頷く。




「も、もう! それなら言ってくれたよかったのにー」




「い、いや、だって、申し訳ないじゃん。せっかく作ってくれたのに……」




でも、せっかく作ったその料理を嫌なんて言わずに食べてくれた公生くんって、やっぱりかっこいいだけじゃなくて、優しい。




「じゃ、じゃあ、次からはにんじん抜くからね?」




「よろしく頼むよ」




ちゃっかり次の予約までしちゃって、もしかしたら、公生くんも私のこと好きなんじゃないかな。




確信はないけど、直感的にそう思った。