「うん、うまいよ!」




「ほんと? よかったー!」




公生くんがそう言って、おいしそうに食べてくれる。




いつもの一人の食事より、なんか作り甲斐があって、楽しい。




「俺さー、唯一、本当のおふくろの味で知ってんの、肉じゃがだけだからさ……」




そうしみじみと言った公生くん。




肉じゃがって言った意味がやっとわかった。




私は、そんな公生くんを抱きしめたくなった。




きっと今の公生くんもそうだけど、幼い頃、捨てられた小さな公生くんを何よりも抱きしめたくなった。




でも、今の私にはそんな権利はない。




そんな権利を持っていない。