口の中に、抹茶の味が広がる。


「お…美味しいでしょ?」



たまに見せる優美の照れ笑い。

たまんねー。

俺は、顔が赤くなったのが見られたくなくて顔を背けた。


「ぁっ。もしかして、抹茶嫌いだった?」



慌てる優美。


「嫌いじゃない。」


ぐいっ。


優美に頬を両手でつかまれ、思いっきり顔を向けられた。

…最悪だ。


「じゃあ、どうし…。新、顔赤いよ…?もしかして、新が照れちゃったとか!?」


すっげえ笑顔の優美。

可愛いー。とか、もっと食べるー?とか。

いつもと立場が逆転してるっつーの。



「……今日の夜は覚えとけよ。」



一瞬で静かになる優美を連れて、俺たちは旅館に戻った。