お線香の香りと、人のすすり泣く声。

見慣れたおじいちゃんの顔は真っ白になっていて、もう話せないんだと考えるとじわ、と涙が出てきた。


「せんせぇ…!」

「うぅ…!」


お葬式には、おじいちゃんの生徒もたくさん来ていた。



おじいちゃんは高校の講師で、頻繁に学校に行ってはいないが、生徒の人生相談に乗っているうちに学校には欠かせない存在になっていたらしい。

そんなおじいちゃんの死を悲しんで来てくれた生徒がたくさんだ。


「…おじいちゃん……」

冷たくなったおじいちゃんの手を握って、涙が止まらなくなったとき、彼は声をかけてきた。


「…そんなに泣いてたら目、腫れちゃうよ」


それが私と、京弥の出会いだった。