「有希、どうした?」

大好きなおじいちゃんが亡くなった悲しみの中、帰る準備をしているとみんなが声をかけてきた。

「……ちょっと、ね」

亡くなったなんてあんまり公にしたくない私は、少し言葉を濁してさっさと教室を後にした。


職員室にはお母さんがいて、目を赤くして座っていた。
きっとお葬式の準備を抜け出して私を迎えに来てくれたんだろう。


「有希、行くわよ」

「…うん」


初めて見たお母さんの泣いた顔は新鮮で、なんだか胸がぎゅっと苦しくなった。