「後半チーム始め!」
掛け声と共に一斉にスタート。
「進藤さん、行くよ!」
慎重にボールを投げた。
「1… 2…」
紗弥ちゃんの声を聞きながら、ゆっくりスタート。
『上に上げてくれたら、どんなボールでも拾うから。
新谷さんは、出来るだけ高めに上げて』
昨日の練習で言われた言葉。
あたしは、ただそれだけを守るようにパスを続けた。
右に行ったり、近かったり…
あちこちに飛んでいく中、あたしの手の中には同じ場所に返ってくるボール。
上に上げる…
できるだけ高く…
「…27! 28!」
星ちゃんと紗弥ちゃんの声がだんだん大きくなる…
「29! …あっ!!」
進藤さんの声が響く。
今まであたしの手の中に入ってきていたボールが、あたしのほうには向かわず横に逸れていくのが見えた。
…あと1回!!!
落としてなるものか!!
その瞬間、ボールめがけて走り出す。
間に合え!間に合え!!
あと1歩!!
ボールめがけて、ジャンプ!!!
ドーーーン!!
…トン、トン、トトン…
「キャーー!!
美雨?! 大丈夫??!!!」
後ろから紗弥ちゃんの悲鳴と共に、みんなの騒つく声。
「星ちゃん!
30回行った?!」
あたしは、床に転がりながら星ちゃんに振り向いた。
目に涙を浮かべながら
両手で頭の上に大きく丸を作って
「落ちる前に、両手で触ってたから大丈夫!!」
大きな声で答えてくれた。
「…よかったぁ…」
あたしは、そこで意識を手放した…