「いいの?

あたしの練習に付き合ってもらって…?」


「言ってるでしょ?

テストを受けるのは私と新谷さん。

一人で練習しても意味ないの!」


なんのために着替えてきたと思ってるの…ブツブツ何か言いながら、あたしの手をひっぱりコートの真ん中に連れて行った。


「さっきは、あたしのためにありがとう!」

距離を取るために離れた進藤さんにお礼を言った。

「別に、新谷さんのためじゃないから!

先生と一緒なだけ!」


ボールを持ったまま、プイと横を向いてしまった。

でも、その横顔が赤くなってるのは気のせいじゃないと思う。



「うん!

あたし、頑張るから!」


大きく両手を上に伸ばす。


「体育館貸切!」



無表情ながら、ちょっと嬉しそうな声で、ボールをあたしに投げた。