〜 洸 視点 〜




なんでだよ、敦……
なんで、そんな泣きそうな顔してんだよ…



敦はソファに座って、目の前に立っている俺を見上げていた

敦のその顔は、今にも泣き出しそうな表情で俺を見つめていた




「………敦、俺…」


「……もういいよ」




敦は、泣き出しそうな表情をしたまま
ニコッと笑って、ソファから立ち上がった



「ごめんな……」



敦は、そう言うと
俺の頭を軽く叩いて、そのまま倉庫から出ようとしていた




「ま、待てよ…!敦…っ!」


「こ、洸……」




俺は敦の方を向いて、敦に後ろから抱きついた



なんで、こんな行動したか自分でも分からなかった…
ただ、敦が…このままだと…

俺をおいて、どこかに行っちまう気がしたんだ…




「嫌じゃない……
気持ち悪くない…っ!

俺が敦に対して
そんなこと思うわけねぇだろ…っ!

俺、バカだから…
なんで敦が俺にキスしたのか分からねぇけど…

嫌じゃなかった
気持ち悪くなかった…っ!」




俺は素直な気持ちを敦にぶつけた
敦は俺の方を振り向こうとせず、ただ黙っていた




「どこにも行かないでくれよ…
俺をおいて、どこかに行こうとしないでくれよ…っ!

嫌だよ、俺……

敦がいなくなる方が
すごく嫌だ…っ!」




キスとか、そんなのどうでもいい
敦がしたいなら、すればいい!

だから、いなくならないでくれ…っ
俺から離れないでくれよ…っ!

敦がいなくなる方が
すごく嫌で、ツライんだよ…っ!