〜 辰也 視点 〜









「ねぇ、辰也くん……」



「どうしました……?」











遥さんが俺に抱きつきながら
小声で話してきた









「もういいんじゃない……?

ああいうタイプって、卑屈すぎて
嫉妬させる以前に、やっぱり自分とは釣り合ってないんだ……とか思っちゃうタイプだよ?


嫉妬させても無駄じゃない?」










俺は、遥さんの言葉を聞き
チラリと涼香さんを見ると暗い表情をしていて

遥さんの言うとおり、この作戦は無意味というか逆効果だと思った









「辰也くん。僕に任せてくれる?」









遥さんは、この状況を変えてあげると言ってきた









「涼香ちゃんって、蛍に似てるからさ〜
こういう子の扱いは、僕の方が向いてると思うよ〜?」





「任せて大丈夫なんですか……?」









確かに、涼香さんは
黒澤 蛍に似てるかもしれない

だけど…
だからこそ、遥さんに任せたら余計悪くなるのではないかと思う



遥さんは、黒澤 蛍を嫌っているので……
涼香さんを危険な目に合わせるのではないかと……









「大丈夫大丈夫〜
任せてよ〜」




「…………涼香さんを絶対に危険な目に合わせないと約束してくれるなら、遥さんに任せます」





「約束するする〜」









本当だろうか……








「じゃあ、辰也くんはしばらくどこかに行ってて〜

一時間後また呼び出すから〜」





「……分かりました」









俺は、いつものようにへらへらと笑う遥さんを見て不安に思いながらも涼香さんを任せることにした









頼みましたよ、遥さん……

絶対に涼香さんを危険な目に合わせることだけはしないでくださいね……