私は、遥ちゃんの腰に手を回し
両親がいるところに一緒に向かった






『アキラさん。お久しぶりね?』




「お久しぶりです。お母様……」




『やっと顔を出したか、馬鹿息子』




「……………お父様もお変わりなく…」







まだ死んでいなかったか……
老いぼれ…






『族なんて野蛮なものに入り
私の顔に泥を塗ったお前を、私が許したと思うか?』





「いえ。
あなたは、一生私を許さないでしょうね……

ですが、私もそれは同じです

あなたは、私の大切な人を奪った
私は、一生あなたを許しません」







私たち鳳凰と敵対していた族を嗾け
蓮華さんの命を奪った、この老いぼれを…

私は………俺は、絶対に許さない






『恨んでいるというのか?この私を?


フッ。
お前の好いている女が死んだのは、お前が族などに入ったからだろう?


私が嗾けなくとも、女は死んでいたはずだ』





「……っ…お前…っ!!」





『アキラさん!』






俺は、老いぼれの襟を掴み飛びかかった
周りは、それを見て騒ぎ始めた






『場を弁えろ。
こんなところで、恥をかくつもりか!』




「恥をかく?
俺は、こんなところで恥をかいても何も思わない!

恥をかくのは、あなただけだ。お父様」






俺は、こんな見てくれのパーティーに興味はない!

恥なら、いくらでもかいてやる!


あんたの顔に泥をぬるならな!






「アキラさん
その辺に………」




「遥ちゃん………」






遥ちゃんは、俺の手を握ると
老いぼれの襟から手を離させた






「初めまして。
アキラさんのお父様、お母様

私、黒澤 遥と申します


アキラさんとお付き合いさせていただいています」





『はっ。また懲りずに
下賎な女に恋をしたか』




「てめぇ……っ!」






俺は、老いぼれの言葉に頭がキレ
その醜い顔に一発入れようとしたら…

遥ちゃんが俺の手を強く握った






「下賎な女?

確かに、お父様の目から見たら
私は、下賎な女かもしれません」




『お前にお父様など言われたくはない!』





「フッ。ですが、お父様?

そのお父様の大事な息子様は、そんな下賎な女に恋をしたのです


大事に大事にしてきた息子……
下賎な女に恋をするような教育をしたのは…

誰でもないお父様ですよ?」






『き、貴様……っ!

お前のような下賎な女と……
付き合うとは、お前も落ちたな。アキラ!』





「フッ。
何をおっしゃっているのですか。お父様…


お父様も私みたいな下賎な人たちと
商売しているではありませんか?

お医者様なら、嫌でも
下賎なものたちと関わりますわよ…ね?」





『……っつ!!』






「恥じることはありませんわ。お父様……

アキラさんは、立派に成長なさっています


誰よりも賢く
慈愛に満ちている


まさしく、アキラさんは
医者の鏡ですわ



ここまで立派に成長出来たのは……

お父様だけではなく
多くの方々と関わってきたからこそだと
私は思いますわ



アキラさんは、あなたの自慢の息子様です』






「遥ちゃん………」






『………………お父さんの負けだよ』





『茉奈…!』






茉奈がいつの間にか、私たちの近くにいて老いぼれに近づいて行った







『お父さん。
私もアキラは、自慢の弟だよ

お父さん。
アキラを許してあげて……』





『私からもお願いします
アキラさんを許してあげて……』





『お前まで……っ!』







茉奈に続いて、お母様も
老いぼれに優しく微笑んで言った






『……っ…勝手にしろ!
お前たちには、付き合いきれん!』




『お父さん!』『あなた!』





『だが…な……
その女は、気に入った

アキラ。
絶対にその女を手離すんじゃないぞ…』







老いぼれは、去り際にそう言い残し
パーティー会場から出て行った