『アキラ〜』
「………そんな大きな声を出して
私の名前を出さないでくださいよ…」
『何その上から目線〜
お姉様に対して、それはないんじゃない?』
「………………はいはい、すみません
お姉様」
私に笑顔で手を振り、近づいてきたのは
私のお姉様である、茉奈だった
茉奈は、お嬢様って感じをさせない
サバサバとした女性だ
『あんたが、久しぶりに
こんなパーティーに顔を出すからって聞いていたから、何かあると思ったけど……
へぇ〜
あっそ〜、そういうことね〜』
「そういうことって…
どういうことですか……」
茉奈は、私の隣にいる遥ちゃんを見つめると
私の背中を叩いて、ニヤニヤと笑ってきた
「初めまして。
アキラさんのお姉様……ですか?
私、黒澤 遥 といいます
アキラさんとは、一年くらいお付き合いをさせていただいています」
『あらあら……まあまあ
ご丁寧にどうも』
「お姉様。
おばさんみたいな言い方しないでください」
それにしても……
遥ちゃん、本当に完璧だな……
どこかの令嬢に見えるほど
美しく振舞っている
『アキラ
あんた、一年前からって……
こういうことは、早く言いなさいよ!』
確かに、一年くらい
遥ちゃんと付き合ってきていますが……
決して、交際の方の付き合ってるではない
知りあって、一年くらいという意味です
『可愛い子見つけて〜
早く紹介して欲しかったわよ!
どうも。初めまして〜
アキラのお姉様!で……茉奈で〜す
こんな堅物男だけど、よろしくしてやって』
「私の方が至らないところがあるので…
アキラさんと付き合うのは、とても勿体無いです…」
『アキラ!
よく捕まえたわね、こんな可愛くて性格の良い子!
大事にしなさいよ!』
「痛っ…分かってますよ、お姉様……」
茉奈は、私の背中をバシバシと強く叩いてそう言ってきた
私は、ちらりと遥ちゃんを見ると……
遥ちゃんは、私に優しく微笑んできた
その笑みが、すごく恐ろしかった
ここまで……
すごい演技が出来るなんて……
『あっ、そうだ!
お母さんとお父さんが呼んでいたわよ
早く行ってあげて』
「………………分かりました」
このときが来た……
遥ちゃん。
任せましたよ……