「早く出てけ」


「そんな怖い顔するなよ
俺は、雫を迎えに来ただけなんだから…」


「えっ…雫ちゃんを?」


「遥の娘は、隣の部屋にいる」


「そっか〜
ありがとう〜」


「ちょっと、待って。慶都!」


「お、おい……蛍っ!」




私は、恭也から離れ
隣の部屋に向かおうとした慶都を止めた




「うん?どうしたの、蛍ちゃん」


「今、司くんが雫ちゃんを迎えに来るはずなんだけど……」



司くんが遅くなるから、慶都に頼んだのかな……?



「ああ…司が?
なら、司には俺から連絡しておくよ」


「あっ、うん……お願い」



司くんに頼まれたわけじゃないみたいだね……




「司に来てもらうと…
雫の俺に対する好感度が上がらないからね……」


「えっ…?今、何か言った?」




慶都は、小さな声で何かを言っていて
私は、よく聞き取れなかった



「なんでもないよ〜
雫〜。迎えに来たよ〜」


「あっ、慶都…っ!」


「おっと……!
………雫、また可愛いくなったね?」


「本当ぉ!?
嬉しい…っ////!」




雫ちゃんは、慶都の姿を見て嬉しそうに笑うと思いっきり抱きついていた

慶都は、そんな雫ちゃんを見て
一瞬、怖い顔をしたと思ったら
すぐに、ニコニコと笑って雫ちゃんの頭を撫でていた




今の表情……

気のせいかな…?


すごく怖かった…


気のせいだよね……?




雫ちゃんや先程まで
雫ちゃんと一緒に遊んでいた夕也も
今の慶都の表情に気づいていないみたいで
これは、私の勘違いだと思うことにした




「あっ、家に帰らないと……だめぇ?」


「じゃあ、俺の家に来る?
雫としばらく会ってなかったから、一緒にいたいし…」


「本当ぉ!?
私も慶都と一緒にいたい…っ!」


「じゃあ、俺の家に行こうか」


「うん!」




そう言って、慶都は雫ちゃんを腕に抱いて玄関に足を進めた