シスター堀は、可南子を見てホッとした顔で微笑んだ。
「それは、私は、あなた達二人の事をずっと祈っていたの。
マリア様に手紙の事を懺悔するためではなく、二人の行く末がとても気になったから・・・
可南子さんはもちろんのこと、想太さんの事も祈りました。
可南子さんにも、想太さんにも、それぞれの道で幸せが訪れますようにと・・・」
想太はずっと頭を下げていた。
想太と可南子の知らないところで、二人はたくさんの人達に愛されていた。
シスター堀の言葉は、想太の魂にまで沁みわたった。
「それと、シスター田中やこの学校の事を恨まないでください。
あの件は、可南子さんの事を真剣に考えて導いた結果なのです。
私達は決まりの中で生きている事を、忘れてはいけません」
シスター堀は自分でそう言って、ペロッと舌を出した。
「でも、この手紙の事は三人の秘密ですよ。
胸の中にしまっておいてくださいね」