「事務所の方に反対されないんですか?」


「もちろん、今でも猛反対されているわ。社長にも会うたびにタクシー使えって言われているしね」


「じゃあ、どうして……?」


「私なんてまだまだ他の女優さんに比べたら足元にも及ばないのに、そんなときからタクシー乗るっておかしくて」



莉子さん、謙虚すぎます……。


莉子さんみたいな女優さんが電車に乗っている方が逆に危ないんじゃ……。



「でも、最近は嫌だけどタクシー使っているんだ」


「えっ?」


「お父さんに言われてね、もっと芸能人として自覚持てって。でも、電車使えって言ったのお父さんなのに矛盾しているよね」



クスクス笑っている莉子さん。



「私もタクシー使った方がいいと思います。莉子さん本当に綺麗だから、痴漢とかに襲われると思いますし。何かあってからじゃ遅いんですよ」