先輩が近づいてきて、私の前にしゃがみ込んだ。


先輩の右手がゆっくり伸びてきて、私の頬を触った。



「なぁ、柚子。俺はどうすればいいんだ……?」


「先輩もしかして……」



好きな人がいるの……?


頭で理解したと同時に胸がギュッと締め付けられた。




私って本当にバカだな……


先輩が私のこと好きになるわけないのに、何期待していたんだろう……


胸が痛いよ……、苦しいよ……



視界がだんだんボヤけてきて、頬を伝って涙が流れていった。


すると、ハッと我に返ったような行動をした先輩。



「ごめん、さっきのことは忘れてくれ」



何…それ……


散々あんな苦しそうな顔を見せておいて、忘れてくれ……?



「……に…ない……」