後ろから聞こえてきたちよちゃんの声に振り返り、叫びかえす。



「うん!今度、連絡するね!」



遠くから見えたちよちゃんの顔は、笑っているように見えた。


寒い、寒すぎる。


歩き始めていた私達の手は、繋がれていない。

手を繋いでいたときも、繋がっていない今も変わらず、私達の間には見えない壁がある。

決してこの壁は壊してはいけないし、乗り越えてもいけない。

いわば、法律みたいなもの。

それを作っているのは私ではなく彼で、壊れるときが来るとしたらそれはこの関係が終わるとき。

良い意味でも悪い意味でも、それは私にとって恐怖の対象。


ーーー全ては、彼の一言からはじまった。




《かえりみち。~私達は嘘つき~》