ローファーに履き替えて彼の元へと歩く。

未だに気づかない彼に少しだけ好奇心がわき、遠回りをして後ろから驚かす。



「わっ!!!」



「っ!?!?」



何が何だかわからない、というような反応をする彼に嬉しくなる。

彼は電話が耳から少し離れた位置で固まり、口がぽかんとしている。


悪戯成功!


電話口からはちよちゃんらしき、女の子特有の高めの声が聞こえてくる。



「電話、いいの?」



目の前で手を振りながら彼に言うと、慌てたように彼は電話の相手に謝りはじめる。

すると、直ぐに切って私の方に振り向く。



「秋月さんって、あんなこともするんだ……」


彼の予想以上の反応に、心がほくほくする。

けれど、彼の呟きに頭の中で疑問が湧いてくる。


あんなことって、悪戯のことだよね……?

まって、私都筑くんの頭の中で一体どんな子になってるの。



「悪戯ぐらい、私もするよ?」



「そうだよね、うん。いやー、親近感湧いた!」



親近感って……。

私どんだけ真面目な人だと思われてたの。


思わず、苦笑いが出る。

さっきから彼は何だか私に対して、失礼だ。