言い切ると2つのかばんを取って歩き始めた彼の背中を、私は慌てて追いかける。


何よ、私に拒否権全くないじゃんか!


心の中で毒づきながら私は彼を追い抜き、職員室へと向かった。

後ろでは、戸惑う彼の声が聞こえる。


ふんっ。

ちょっと位、都筑くんも困れば良いんだー。



「失礼します!図書室の鍵返しに来ました」



息を整えてから入ると、私は所定の位置へと鍵を戻す。

放課後の図書室開放は、図書委員が専門にやっているため司書さんは既に帰っていて鍵の戸締まりも図書委員が担当。

慌ただしく出る私を、先生方は何事かと見ていた。

図書質、昇降口、職員室と一直線に繋がっている廊下を私はまた全力疾走。


絶対これ、痩せるよね。


なんて苦笑いをしながら昇降口に着くと、誰かと電話をしている彼の姿。

彼の肩には、ちよちゃんと色違いの少しと大きめのキーホルダーがついた私のかばんもあって、さすがに2つは重そうだった。

どこか落ち着きのない、心配そうな彼の姿に相手が千代ちゃんと直ぐにわかった。


何だかんだ言って、ちよちゃんだって彼を手放したくはないんだろうなぁ。