笑いが治まりはじめた彼は、それがさも普通かの様にさらっと言った。


いやいやいや、何言ってんの都筑くん。


思わず目を見開く私に、彼は、口開いてると私のことを指差しながら言ってまた笑い始めた。

慌てて私は口を閉じ、ポケットに入っていたマスクを付ける。



「てか、それより!何で知ってたのにわざわざここでしたの?!」



なんという拷問なのだろう。

付き合ってもなく、モテてもいない私にとって、人の告白現場を意図的に見せられる何てイジメとしか思えない。


彼の口の端が片方だけあがり、にやりとする。

その不敵な笑みに、不謹慎にもこの人は色んな笑い方が出来るんだなと思ってしまった。

それと同時に、この人はいつも笑っていると気づいて少し、心配になった。





「んー、何となくかな」



「いじめだ、いじめ!」



舌を少しだして笑う彼の、普通の笑顔が見たいと思うのは、少し欲張りな気がした。

だって彼は余りにも、綺麗に笑うから。

それでも、それでも君の普通の、心からの笑顔が見たいと思ってしまうんだ。


ーーーその願いが、叶う日は来ますか?