「つーかさ、なんなの?」


「え!?」


「なに勝手に別れるとか決めて、音信不通にしてんだよっ」


私の目の前に立ち、上から見下ろされた。

イラついてるみたい。

少し怖くなり、視線を逸らしてしまった。


「ごめんっ……でも芽衣子さんから色々聞いたでしょ? 私……」


「そんなの最初っから知ってたし」


「え!?」


顔を上げると、まっすぐに私を見つめる翼がいた。


「真夜中に美羽を送った日、男とホテル入るとこ見たから」


驚いて声が出なかった。


あの日見られてたの……!?


「やっぱさ、気になってる女をあんな真夜中に外に出すなんて心配じゃん」


「翼……それなのに私と付き合ったの? 軽蔑しなかったの!?」


「するわけねぇから。そんなんで嫌いになんかなれっかよ。美羽だってワケがあってやってたんだろ?」


心臓をギュッと鷲掴みにされた感じ。

翼はこういう人なんだよね。


「うん。私家出してるし……バイトできないからあれしか稼ぐ方法がなくて。でも翼と付き合って辞めようと思った。それは本当だよ? ちゃんとケジメをつけるために話に行っただけで……」