「そんなことありません! 確かに暴走族のことはよくわからないけど……翼のこと大事にしたいと思ってます!」
「それでよく援交やれるよなぁ? 翼のこと裏切ってんだぞ?」
ズキンと胸が痛んだ。
「そ、それは……」
何を言っても、言い訳に聞こえる。
私の口は動かなかった。
「もういーから。情が深くなる前にとっとと別れな? 翼には私から言っとくから」
芽衣子さんがバイクにまたがった。
「あ、待ってください!」
私の声はバイクの音でかき消されてしまった。
ひとり取り残された私は呆然とその場に立ち尽くす。
パパ、ママ、お兄ちゃん、陽菜……
そして翼。
みんな私の前から消え去っていく。
でも全部私が悪いんだ。全部全部……
いつの間にか頬に涙が伝っていた。
芽衣子さんの言う通り、私は翼を裏切った。
理由がどうであれ、浅野さんと会ったのは本当のことだ。
誤解されても仕方がない。