「うん……来ちゃった……」
「おい翼っ……」
大輝は不安そうな顔で翼の方を見ている。
なんでそんなに焦っているの?
「美羽。やっぱ大輝とどっか行ってろ」
翼が振り向いて私に言った。
その顔はすでに頭の顔になっていて……少し怖かった。
「え……なんで!?」
「大輝、終わるまで美羽とどっか行っててくんねぇ?」
「お、俺は別にいーけど……」
大輝がチラッと私を見る。
「やっぱ危ねぇとこにいさせたくねーんだよ。美羽もいーよな?」
「う、うん……」
それじゃ着いてきた意味がない。
本当は嫌だったけど、今の翼は有無をも言わせないようなオーラを放っていた。
翼は芽衣子さんたちの方へと行ってしまった。
私は結局、蚊帳の外なの?
喧嘩なんてできないけど……
芽衣子さんは翼と対等でいられるのにな。
嫉妬してしまう自分が嫌い。