「ねぇ翼……変なこと聞いていい?なんで暴走族に入ったの?」

翼は無言でポケットからタバコを取り出し、火をつけた。

触れちゃいけないことだったのかな。


「そーだな。美羽は俺のことなんも知らないんだよな」


「う、うん!翼のこともっと知りたいから……」


「俺、父親に捨てられたんだよね」


「え、父親に捨てられたって……お母さんは?」


「母親は日本人じゃなくてイギリス人でさ」


だから瞳がグリーンなんだ。

薄々気づいていたけど、カラコンじゃなかった。


「でも俺を産んですぐに死んだんだよね。心臓の持病があったらしく俺の命と引き替えに死んだっぽい」


「そうだったんだ」

「マンガやドラマみたいだろ」と、翼が笑う。


でもその笑顔の奥には悲しみが見え隠れしていた。


「だから俺は母親の記憶がないわけ。父親のは思いっきりあるけど。最悪な父親だったしな」


少しイラついた様子で眉間にしわを寄せた。


「アイツは散々俺に虐待してきて、挙げ句の果てに捨てたんだよ」