「こんにちは。」

その『お兄ちゃん』は、優しい顔で、にっこりと微笑んでくれた。

ドキンッ!

私は、胸が高鳴るのを感じた。

私は、『倉橋めぐみ【くらはしめぐみ】』。

当時、5歳。

その時から私は、その名前も知らない、『お兄ちゃん』に恋しちゃったの。

でも、それっきり。

二度と、その『お兄ちゃん』が私の前に現れることはなかった。

だけど、10年後、また、その『お兄ちゃん』と『巡り逢う』ことになる。