「どこに行くとか、どれくらいかかるとか、事前に教えてはくれないんですか?」


仕事終わり、約束していたケーキ屋で、ケーキを食べながら
鳴海さんに聞いた声には、不満という感情が混ざっていた。



「・・言えないんだよね、家族でさえも知らないってことも多いし。」

本当にごめんね。


まっすぐに頭を下げられるとそれ以上何も言えなくなる。



「・・大丈夫ですよ、私もマメなほうではないので。これくらいがちょうどいいかもです!」

にっこり笑ってそう返す。





鳴海さんが何か言いたそうにしていたけど、
気づかないふりして、私は会わない間にあったことを話す。





全然大丈夫、


そうだよね、私は本来そうだったはず。




そう自分に言い聞かせながら。