定時になると、さすがにクリスマスイブという事で、みんな早々に帰って行った。もちろん、詩織も……
「お先に失礼します」
と言って俺にお辞儀をした詩織は、全く元気がなかった。とてもこれから友人と会食する人とは思えない。やはり体の調子が良くないのか、あるいは俺に申し訳ないと思っているからか、その両方か……
詩織は元気がないどころか、泣きそうにさえ俺には見えた。しかし俺は、あえて笑みを顔に貼り付け、「お疲れさま」と言って詩織を送り出した。
小島も上がり、玉田も鞄を持って立ち上がった。
「今日はデートか?」
「それがですね、今夜は合コンなんですよ。カレカノがいない者同士で。あ、課長もなんでしたら……」
「バカ言うな。俺だって……」
「え?」
「何でもない」
「ですよね? じゃ、お先です!」
「お疲れ」
何が“ですよね?”だ。バカにしやがって……
今に見てろってんだ。アッと驚く発表をしてやるから。
俺もそろそろ上がろうと思っていたら、ポケットの中のスマホが震えた。誰かからメールか何かが来たらしい。
詩織か、もしくは野田かなと思ってスマホを取り出したのだが……
なんと、小島からだった。小島からメールが来ていた。2課では、緊急連絡用に全員の携帯番号とメールアドレスが公開されているから、小島からメールが来ても不思議ではない。過去にも、仕事の事で何度かメールのやり取りをした事がある。
だが、このタイミングでいったいどんな内容なのか。俺は訝しがりながらも、小島からのメールを開いた。すると、こう書いてあった。
『課長のオモチャを一晩借ります。安い口止め料だと思ってください。では、メリークリスマス』
「お先に失礼します」
と言って俺にお辞儀をした詩織は、全く元気がなかった。とてもこれから友人と会食する人とは思えない。やはり体の調子が良くないのか、あるいは俺に申し訳ないと思っているからか、その両方か……
詩織は元気がないどころか、泣きそうにさえ俺には見えた。しかし俺は、あえて笑みを顔に貼り付け、「お疲れさま」と言って詩織を送り出した。
小島も上がり、玉田も鞄を持って立ち上がった。
「今日はデートか?」
「それがですね、今夜は合コンなんですよ。カレカノがいない者同士で。あ、課長もなんでしたら……」
「バカ言うな。俺だって……」
「え?」
「何でもない」
「ですよね? じゃ、お先です!」
「お疲れ」
何が“ですよね?”だ。バカにしやがって……
今に見てろってんだ。アッと驚く発表をしてやるから。
俺もそろそろ上がろうと思っていたら、ポケットの中のスマホが震えた。誰かからメールか何かが来たらしい。
詩織か、もしくは野田かなと思ってスマホを取り出したのだが……
なんと、小島からだった。小島からメールが来ていた。2課では、緊急連絡用に全員の携帯番号とメールアドレスが公開されているから、小島からメールが来ても不思議ではない。過去にも、仕事の事で何度かメールのやり取りをした事がある。
だが、このタイミングでいったいどんな内容なのか。俺は訝しがりながらも、小島からのメールを開いた。すると、こう書いてあった。
『課長のオモチャを一晩借ります。安い口止め料だと思ってください。では、メリークリスマス』