ちょうど昼だな。高宮を連れて飯に行くとしよう。


「高宮。飯に行くから、手を洗って来い」


 高宮は、棚の整理をしていたから手が汚れているはずだ。

 例によって高宮は「はい!」と笑顔で答えたのだが、すぐに玉田の方を見た。やはり高宮は、俺と玉田の会話を聞いてなかったようだ。


「玉田の事は気にしなくていい。今からおまえの教育係は俺だから」

「えっ? そうなんですか?」


 高宮は相当驚いたらしく、ただでさえ大きな目を、更に大きく見開いていた。この後、高宮はどんな顔をするだろうか。普通に考えれば嫌な顔をすると思うが、もし高宮にそれをされたら、俺、傷つくかもしれない。


「そうだ」


 と俺は言って高宮を見ていたら、なんと高宮は、パッと顔をほころばせた。つまり、満面の笑みだ。

 嘘だろ? まるで喜んでるみたいじゃないか。こいつ、教育係の意味が解ってないんじゃないか。四六時中、鬼課長の俺と一緒なんだぞ。


「俺がみっちりお前を鍛えるから、覚悟しておけ」

「はい!」


 意味は……解ってるらしい。