「優也君…」

「菜々子、ありがと」

言葉を遮ってすごく優しい顔で言われて。

どうしよう…好き、だよ。

「菜々子…」

なんか、今にでも泣き出しそうで。

仔犬みたいな優也君を放っておけなくて。

私は近づいて手を優也君の背中に回した。

それで、ぎゅって抱きしめた。

大人だと思ったけど私より幼稚だよ、優也君。

今は恋愛なあれこれじゃなくて

家族愛。そういうものだから。

ちっとも恥ずかしくなかった。

「優也君、ひとりじゃないよ…」

「ん。菜々子、ありがと」

ありがとう、って。

別にいらないよ。

優也君の体温を全部奪っちゃいそうで
私は優也君から離れた。

途端に恥ずかしさが戻ってきて、
私は慌てて謝る。

「ご、ごめん!あの…ばいばい。おやすみ!」

逃げるように部屋を出た。

冷たい空気が肌に当たって、
私の胸は一層どくどく波打った。

私、何してんだろ…。

優也君…。