「ちょっと待って!キスはしてないっ!ギリギリセーフっ」



あのとき、二階堂先輩にキスされる寸前で、あたしは顔を背けた。



“結雨……”

“ごめんなさい……先輩”



湊の顔が浮かんで、涙が止まらなくて。



湊のことが好きだって、ハッキリ気づいたから……。



「別れたあとにね、二階堂先輩にもらったブレスレット……ずっと捨てられなかったんだ。だけど昨日ちゃんと返して、サヨナラしてきた」



「もう二階堂先輩のことはいいの?」



「先輩への復讐が終わるまでに、自分の中で気持ちの整理つけるつもりだった。でもね、あたし……」



あたしはきゅっと下唇を噛みしめる。



「結雨ちゃん……?」



「どぉして好きになっちゃったんだろぉ……叶わない恋なのに。絶対に叶わないのに……」