まぁ、興味を持たれても困るんだけど。



どうせ、みんなそう。


誰もあたしの言い分なんて聞いてくれない。


長谷川君だって同じ。


クラスにもあたしの男関係のウワサは広まってるから、みんなからそんな目で見られていると思う。


あたしを見てヒソヒソ言ってるし、男子からはからかい半分で『遊んでんの?』なんて聞かれたこともある。


先輩や同級生から何回か告白されたけど、みんな遊んでるような人ばかりだった。



きっと長谷川君だってそう思ってるに決まってる。


訊ねて来たのだって、面白半分なんだろう。



「先輩の彼氏を誘惑したことになってるらしいよ」



重く取られないように冗談っぽく笑って適当に交わした。


そして、自分の席に行ってカバンを持つ。



正直もう、どうでもいい。


誰にどう思われようとあたしには関係ない。


好きなように思えばいいんだ。



「ふーん、そっか。大変だな」



振り返ると、クリッとした目を細めて長谷川君はやっぱり笑っていた。


何を考えているのかわからないポーカーフェイスと、冷めたようなその瞳。


笑っているのに、笑顔がとても冷たい人。


きっと心からは笑ってなくて、表面上だけ取り繕っているんだろう。


こんなウソっぽい笑顔を向けられても、嬉しくも何ともない。


むしろ不愉快で早くこの場から立ち去りたかった。