蔑むような冷たい瞳。


気付けばクラスメイトからの注目を集めていた。


みんな面白いものでも見るかのようにあたしを見ている。


つまらない世界。


こんなところにいるくらいなら、いっそのこと消えてなくなりたい。


生きてたって、楽しいことなんて何もない。


苦しいだけだもん。



「聞いてるの?」



いつまでも答えないあたしに、先生は腕組みしながら呆れ顔を見せる。



「……すみませんでした」



「本当に悪いと思ってるの?昨日もずっと上の空だったわよね?」



「ごめん、なさい」



「謝れば許されるとでも思ってるの?まったく、最近の子は。これだから」



授業中にスマホを触ってる人はたくさんいる。


だけどこの先生は、いつもあたしを目の敵にするんだ。


「せーんせ。次の問題、俺が答えてもいい?」


ガミガミうるさいお説教の中、のんびりした明るい声が響いた。


声の主は爽やかに笑う長谷川君。


「長谷川君、あなたこの問題がわかるの?」


「バカにしてないっすか?俺だって、やる時はやるんです」


「そこまで言うなら仕方ないわね。やってみなさい」



先生はあたしに「次見つけたら没収するわよ」と言い残し、教卓へと戻って行った。


視線を感じて顔を上げると、長谷川君と目が合いなぜかニコッと微笑まれる。


あのままだと、確実にお説教は長引いていただろう。


もしかして……助けてくれた?


いやいや、ありえないよ。


他人に興味のない長谷川君が、私を助けるなんて。


きっと、彼の気まぐれに違いない。