すごく単純だけど、それだけのことで気分が一気に明るくなった。
ニヤニヤしてたら、海里に頭を軽く小突かれちゃったし。
「あー、イチャついてるところ悪いけど。俺は太陽っていって海里とは同じクラスなんだ。よろしく」
ニコッと笑ってそう言ってくれた太陽君は、この中では見た目が控えめな方。
それでも整った顔をしてるから、存在感は抜群だけど。
人懐っこい笑顔が安心感を与えてくれる。
「あ、う、うんっ……!こちらこそお願いします」
そのあと一通りみんなが自己紹介してくれたけど、人数が多すぎて一度に覚えられなかった。
とにかく海里と一番仲が良い太陽君と、その彼女の亜子(あこ)ちゃんは覚えた。
亜子ちゃんは黒髪のボブカットで、小柄な可愛い女の子。
くっきり二重の目がとても可愛くて、ニコニコしていて愛嬌がある。
そんな亜子ちゃんは、他の女子からあたし同様敵意に満ちた目で見られていたけど。
鈍いのか、当の本人はそれにまったく気付いていない。
「結愛ちゃん、だよね?亜子、友達がいなくて。仲良くしてくれると嬉しいな」
「え?あ……うん。よろしくね」
愛嬌のある笑顔で微笑まれ、とっさに愛想笑いを浮かべた。
一気に距離を縮めて来られると、警戒するのが板についてしまっている。
信じて裏切られるのは嫌だから、簡単に人を信用しちゃいけない。