明らかに悪そうな人たちを目の前に怯んだけど、「大丈夫だから」と海里に腕を引かれて何とか輪の中に入ることが出来た。


8人ぐらいの男女がいたけど、どの人もかなり目立っている。


「彼女の結愛。仲良くしてやって」


海里が簡単に紹介してくれて、小さくペコッと頭を下げた。


こんなにたくさんの人に注目されるのは正直すごく苦手。


でも、海里の友達だから……。


その一心で乗り切った。


女子からは突き刺さるような視線を向けられて、息が詰まる思いだった。


やっぱり、あたしはどこに行っても歓迎されないらしい。


男子からは感じない女子の敵意に、海里は全然気付いていないみたいで。


あたしはますます小さくなって顔を上げられなかった。



やだな。


早く帰りたいよ。



「海里の彼女、マジ可愛いな」



「結愛ちゃんかー、名前まで可愛い」



「こんな美少女、俺らの学校にはいねーしな」



「ちょっと!失礼じゃない?あたしらがいるじゃん」



「お前メイク落としたら別人だろ。可愛いっていうのは、素がいい女のことを言うんだよ」



男子たちがあたしを褒めちぎるたびに、女子からは冷ややかな視線を向けられた。


ギスギスして行くのがわかって、どう返事をすればいいのかわからない。



「テメーら、マジうっせー。人の女をジロジロ見てんじゃねーよ」



「へー、お前でも妬いたりするんだ?」



「うっせー。太陽(たいよう)のくせに生意気なんだよ」



ムスッと唇を尖らせる海里の姿に笑みがこぼれる。


妬いてくれてるんだと思うと、嬉しくて仕方なかった。