電話から耳を離した海里は、嬉しそうにあたしの顔を覗き込む。



「高校のダチが今から一緒に遊ばないかって言ってんだけど。向こうも女連れだから、結愛も一緒にどうかって」



ニコニコしちゃってさ。


こんな顔、あたしと会った時はしてくれなかったじゃん。


なんて卑屈になりつつも、その笑顔に弱いあたしは結局頷いてしまった。



本当は2人きりが良かったけど、ここまで嬉しそうにされたら嫌とは言えない。



「おう、じゃあ30分後な」



電話を切った海里を見つめながら、小さくため息を吐いた。


あと30分しか2人きりでいられないのか。


久しぶりだから甘い時間を期待してたけど、どうやら今日は叶いそうもない。



「適当にブラついて時間潰すか」



「そうだね」



本当は話したいこととか聞きたいことがたくさんあったのに、取り留めのない会話をしているとあっという間に時間は過ぎていった。