「海里!遅くなってごめんね」



声をかけると、それまでスマホを触っていた海里がパッと顔を上げた。


無造作にセットされたキャラメルブラウンの髪と、耳にジャラジャラ付いている無数のピアス。


整えられた細い眉毛とか、あたしを丸ごと包んでくれる大きな胸板とか、血管の浮き出た逞ましい腕にドキドキしてしまう。


また、カッコ良くなってるし。



「マジで待ちくたびれたし」



「ごめんごめん。ちょっとゴタゴタしちゃってて」



「ふーん。ま、いいけど。あちーから、とにかくどっか行こうぜ」



「うん!」



久しぶりに会ったっていうのに、いつもとテンションの変わらない海里に拍子抜けしてしまう。


少しくらいニコッとしてくれてもいいのに。


こんなに待ち遠しかったのは、もしかするとあたしだけだったのかな。



「結愛(ゆめ)?早く来いよ」



「あ、うん!ごめん」