ぱっちりした二重の目に、高すぎず低すぎずのスッとした鼻筋。


小さな唇。


背が高くてスラッとしているスタイルは、パパから譲り受けたもの。


顔は……どうやらママ似らしい。



メイクや服のコーディネートは雑誌を読んで勉強している。


オシャレが欠かせないのは、こんなあたしを愛してくれるたったひとりの人がいるから。


だからこそ、さっきみたいな理不尽な仕打ちにも耐えられる。


どんなこともガマン出来るの。



地元の駅に着くと、弾む気持ちを抑えながら待ち合わせ場所に向かった。


自然と足取りが軽くなるのは、久しぶりに会えるのが楽しみで仕方ないから。



そう、あたしには海里(かいり)がいる。


あたしだけを愛してくれるたったひとりの人が。



改札を抜けると大きな本屋さんが目の前にある。


地元では一番大きな本屋さんで、駅前ということもあってか待ち合わせ場所として使われていることが多かった。


息を弾ませながら足速に向かっていると、学ランをだらしなく着崩して立っている派手な海里の姿を見つけた。