なんなの、あの人。


意味わかんない。


そんなことを考えながら、駅まで猛ダッシュした。


電車を1本逃すと次の電車が来るまで30分も待たなきゃいけないから、どうしても5分後の電車に乗りたい。



校庭からは蝉の鳴き声が聞こえて、夏の始まりを教えてくれているようだった。



走っていると額から汗が流れ落ちて手で拭う。


あ、暑っ。


暑いとムダにエネルギーが奪われるから、やっぱり夏は嫌いだよ。



カバンから定期を出して改札を抜けると、ホームに上がる階段を1段飛ばしで走った。


ホームに着くとちょうど電車が停車していて、全速力で突進する。



『間もなく扉が閉まります。駆け込み乗車はおやめ下さい』



そんなアナウンスが聞こえたけど、なりふりなんて構ってられない。



閉まりかけのドアに体を滑り込ませ、なんとか電車に乗ることが出来た。