「でも、いきなり、外部受験するって言うたんよ、今朝。私には関係ない、って言われたんよ。」
奈津菜が肩をすくめた。
「目的語が違わへん?それ。『彩乃くんの進路があきちゃんに関係ない』んじゃなくて、『彩乃くんがどこへ行こうとあきちゃんと別れることはないから関係ない』んじゃない?」
「……そうなん?」
私は拍子抜けした。
「まあ……で、あっても、ちゃんと先に相談してほしいよね。彩乃くん、何でも独りで決めてしまう人?大変だ。」
遥香の言葉に、私は力なくうなずいた。
そして、慌てて携帯電話の電源を入れる。
彩乃くんからの、着信履歴が5件、ラインは一言だけ。
<俺の話を聞けや>
私は、さらに脱力して、みんなにラインの画面を見せた。
みんな、じたばた悶絶して笑い、タイガー&ドラゴンの主題歌を歌ってくれた……ははは。
放課後。
燈子ちゃんと生徒会室へ行き、次の生徒会役員の選出の相談をした。
今の副会長と書記の子がそのまま残ってくれるし、知り合いの1年生に声をかけてくれているようだ。
ありがたいことに、何の苦労もなく任期を終えられそうな雰囲気。
あとは、総括。
会計を〆(しめ)て、報告書を作って、マニュアルを足して、来年へ引き渡す準備のみ。
「あ、そうや。文化祭の時に、他校との合同コーラス入れられる?」
次の会長であろう副会長に相談してみる。
副会長は、うーんと首をひねり
「前例はないですね。会長も任期終わる前にかけ合ってみてください。あとは引き継ぎますから。」
と、心強い言葉をもらえた。
昨秋の合同コーラスのメンバーとは、以後もふた月に一度集まっている。
既に何校かの文化祭での発表の確約は取れたので、4月からは月1回練習をする予定だ。
今のところメンバーは70人前後……なかなかのものだ。
楽曲は、「ハレルヤ」を入れるなら仏教讃歌も入れてくれ!と、各仏教校が声を挙げているので未定だが。
「仏教言うても宗派色々やしなあ。宗派を超えて歌える歌ってあるんかなあ……『三帰文』ぐらいしか思いつかへんわ。」
燈子ちゃんがぼやく。
確かにそれならいけそうだな。
めっちゃ短いけど。
生徒会室を出たのは、下校時間の17時半。
風で桜が散るのを眺めながら廊下を歩き、階段を降りる。
通用門はもう閉まったので、桜のスローブを上がり正門へ。
「師匠!」
「え!?」
燈子ちゃんの叫び声で、私は桜から視線を正面に向けた。
うわぁ……。
確かに彩乃くんが門柱の向こうに立っていたけど、それは「彼氏のお迎え」なんて楽しいものではなく、「闇討の待ち伏せ」のようだった。
目付き悪ぅ。
なまじ顔が綺麗なだけに、怖い怖い。
髪に何枚も桜の花びらがついてる。
「あの……」
何て言えばいいかわからない。
桜の花びらがまた1枚、はらりと彩乃くんの髪に舞い降りた。
奈津菜が肩をすくめた。
「目的語が違わへん?それ。『彩乃くんの進路があきちゃんに関係ない』んじゃなくて、『彩乃くんがどこへ行こうとあきちゃんと別れることはないから関係ない』んじゃない?」
「……そうなん?」
私は拍子抜けした。
「まあ……で、あっても、ちゃんと先に相談してほしいよね。彩乃くん、何でも独りで決めてしまう人?大変だ。」
遥香の言葉に、私は力なくうなずいた。
そして、慌てて携帯電話の電源を入れる。
彩乃くんからの、着信履歴が5件、ラインは一言だけ。
<俺の話を聞けや>
私は、さらに脱力して、みんなにラインの画面を見せた。
みんな、じたばた悶絶して笑い、タイガー&ドラゴンの主題歌を歌ってくれた……ははは。
放課後。
燈子ちゃんと生徒会室へ行き、次の生徒会役員の選出の相談をした。
今の副会長と書記の子がそのまま残ってくれるし、知り合いの1年生に声をかけてくれているようだ。
ありがたいことに、何の苦労もなく任期を終えられそうな雰囲気。
あとは、総括。
会計を〆(しめ)て、報告書を作って、マニュアルを足して、来年へ引き渡す準備のみ。
「あ、そうや。文化祭の時に、他校との合同コーラス入れられる?」
次の会長であろう副会長に相談してみる。
副会長は、うーんと首をひねり
「前例はないですね。会長も任期終わる前にかけ合ってみてください。あとは引き継ぎますから。」
と、心強い言葉をもらえた。
昨秋の合同コーラスのメンバーとは、以後もふた月に一度集まっている。
既に何校かの文化祭での発表の確約は取れたので、4月からは月1回練習をする予定だ。
今のところメンバーは70人前後……なかなかのものだ。
楽曲は、「ハレルヤ」を入れるなら仏教讃歌も入れてくれ!と、各仏教校が声を挙げているので未定だが。
「仏教言うても宗派色々やしなあ。宗派を超えて歌える歌ってあるんかなあ……『三帰文』ぐらいしか思いつかへんわ。」
燈子ちゃんがぼやく。
確かにそれならいけそうだな。
めっちゃ短いけど。
生徒会室を出たのは、下校時間の17時半。
風で桜が散るのを眺めながら廊下を歩き、階段を降りる。
通用門はもう閉まったので、桜のスローブを上がり正門へ。
「師匠!」
「え!?」
燈子ちゃんの叫び声で、私は桜から視線を正面に向けた。
うわぁ……。
確かに彩乃くんが門柱の向こうに立っていたけど、それは「彼氏のお迎え」なんて楽しいものではなく、「闇討の待ち伏せ」のようだった。
目付き悪ぅ。
なまじ顔が綺麗なだけに、怖い怖い。
髪に何枚も桜の花びらがついてる。
「あの……」
何て言えばいいかわからない。
桜の花びらがまた1枚、はらりと彩乃くんの髪に舞い降りた。