芸術の秋。
10月半ばの日曜日、合同コーラスの本番を迎えた。
上が白いブラウスかシャツ、下がミニじゃない黒いスカートか黒いズボン、お揃いの台紙を貼った楽譜を持って総勢130人が舞台に整列した。
高名な指揮者のタクトは、確かに歌いやすかった。
「ゴンドラの唄」を静かに優しく歌いあげたあと、「グリーンスリーブス」で低音を聞かせて、風のように高音をかぶせる。
客席のセルジュと彩乃くんとテオさん、さすがに目立つなあ……。
……去年までは、あれで彩乃くん、長髪やってんもんなあ……すごかったやろうなあ。
一呼吸おいて「アメージンググレース」は、とにかく美しいハーモニーの世界。
あ、奈津菜の好きな佐野先生、音楽教師と一緒にいる。
……まあ同僚なんだから顔を合わせりゃ連れ立って席についても当たり前なんだけど……なんか……違う。
2人の間の距離感があまりにも近い気がして、私は歌いながらチラリと奈津菜を見てしまった。
奈津菜は気づいてないらしく、ニコニコと恋する乙女モード全開で歌い上げていた。
そして最後は高らかに「ハレルヤコーラス」。
バリバリ仏教徒の私には合わないけれど、英語の歌詞で世界観は中和される。
何より、ヘンデルの美しいメロディーは、大好きだ。
ああ……
自分の声がこんなにも高く出るなんて思いもしなかった。
やる気なんか全くなく、遥香の思いつきで義務のように参加したけど……確かに心地いい。
今年の文化祭、うちのクラスは音楽選択が多いので、必然的にコーラスになったけど気持ちよかったな。
……生徒会で忙しい私も燈子ちゃんも、コーラスなので本番もちゃんと参加できてうれしかった。
これが終わったら、また本格的に創作ダンスに本腰を入れなければならない。
いや、その前に、目前に迫った中間テストを乗り越えないと、な。
そんなこんなを考えながら、キリストを賛美する曲を歌詞は考えないように気持ちよく歌い上げ、半年がかりのイベントが終わった。
「おつかれ~!」
舞台袖で、義人くんがハイタッチをしてきた。
「お疲れさま。長かったねえ。」
「せっかくやから、打ち上げする?」
義人くんがそう言うと、既に楽屋方向へと歩いていた人達までが、ふり返った。
……個人的交流は皆無に等しかったけど、みんな、多少は仲良くなりたかったのかな。
いや、言いだしっぺが義人くんだから、か?
「いいね。名簿もらって連絡回そうか。」
「じゃ、僭越ながら俺らが幹事ってことで。」
義人くんと2人で相談しながら、統括指導してくださってた音楽教諭のところへ行った。
「……さすが……生徒会長2人……仕事、早いわ……」
楽屋で先生が名簿をコピーしてくださるのを待ってると燈子ちゃんがそうつぶやいた。
「何言うてるん。燈子ちゃん、会計やろ?130人のうち何人集まるかわからんけど、助けてや。」
義人くんがそう言ってウインクした。
無駄に色気を振りまくから、周囲の女子生徒が悲鳴をあげる。
自分の魅力を知っている義人くんは、彼女らに笑顔で手を振った……よく、やるよ。
10月半ばの日曜日、合同コーラスの本番を迎えた。
上が白いブラウスかシャツ、下がミニじゃない黒いスカートか黒いズボン、お揃いの台紙を貼った楽譜を持って総勢130人が舞台に整列した。
高名な指揮者のタクトは、確かに歌いやすかった。
「ゴンドラの唄」を静かに優しく歌いあげたあと、「グリーンスリーブス」で低音を聞かせて、風のように高音をかぶせる。
客席のセルジュと彩乃くんとテオさん、さすがに目立つなあ……。
……去年までは、あれで彩乃くん、長髪やってんもんなあ……すごかったやろうなあ。
一呼吸おいて「アメージンググレース」は、とにかく美しいハーモニーの世界。
あ、奈津菜の好きな佐野先生、音楽教師と一緒にいる。
……まあ同僚なんだから顔を合わせりゃ連れ立って席についても当たり前なんだけど……なんか……違う。
2人の間の距離感があまりにも近い気がして、私は歌いながらチラリと奈津菜を見てしまった。
奈津菜は気づいてないらしく、ニコニコと恋する乙女モード全開で歌い上げていた。
そして最後は高らかに「ハレルヤコーラス」。
バリバリ仏教徒の私には合わないけれど、英語の歌詞で世界観は中和される。
何より、ヘンデルの美しいメロディーは、大好きだ。
ああ……
自分の声がこんなにも高く出るなんて思いもしなかった。
やる気なんか全くなく、遥香の思いつきで義務のように参加したけど……確かに心地いい。
今年の文化祭、うちのクラスは音楽選択が多いので、必然的にコーラスになったけど気持ちよかったな。
……生徒会で忙しい私も燈子ちゃんも、コーラスなので本番もちゃんと参加できてうれしかった。
これが終わったら、また本格的に創作ダンスに本腰を入れなければならない。
いや、その前に、目前に迫った中間テストを乗り越えないと、な。
そんなこんなを考えながら、キリストを賛美する曲を歌詞は考えないように気持ちよく歌い上げ、半年がかりのイベントが終わった。
「おつかれ~!」
舞台袖で、義人くんがハイタッチをしてきた。
「お疲れさま。長かったねえ。」
「せっかくやから、打ち上げする?」
義人くんがそう言うと、既に楽屋方向へと歩いていた人達までが、ふり返った。
……個人的交流は皆無に等しかったけど、みんな、多少は仲良くなりたかったのかな。
いや、言いだしっぺが義人くんだから、か?
「いいね。名簿もらって連絡回そうか。」
「じゃ、僭越ながら俺らが幹事ってことで。」
義人くんと2人で相談しながら、統括指導してくださってた音楽教諭のところへ行った。
「……さすが……生徒会長2人……仕事、早いわ……」
楽屋で先生が名簿をコピーしてくださるのを待ってると燈子ちゃんがそうつぶやいた。
「何言うてるん。燈子ちゃん、会計やろ?130人のうち何人集まるかわからんけど、助けてや。」
義人くんがそう言ってウインクした。
無駄に色気を振りまくから、周囲の女子生徒が悲鳴をあげる。
自分の魅力を知っている義人くんは、彼女らに笑顔で手を振った……よく、やるよ。