「あ、良かった良かった!やっと戻って来た!」



そんなことを考えながら、荷物の置いてあるシートに戻れば長沢が安堵の息をついた。



「ごめん、遅くなって...」



「そんなことよりも瑠星、もうすぐで待機かかるからコートの近くて待っていようぜ」
(※待機:自分が試合する1つ前の試合になると、コートに入って試合が終わるのを待つこと。自分の試合が始まる時間ギリギリに来る人もいる)



俺は未菜の視線を感じながらも、〝おう〟と頷いた。



大丈夫。

テーピングでガチガチに固定してるんだ。

試合になればアドレナリンも出る。



俺は長沢とコートに向かおうとした時、



「待ってください!」



この声によって足の動きが止められた──