「怒ってない。よく泣くな花子…」
「いつも以上に怖いんです…竜也先輩」
竜也先輩は、困った顔をしていた。
困った顔を見るのも初めてだった…。
最近先輩の初めての表情をたくさん見る。
「本当罪な女だな」
先輩は、そう言って私の横に座って涙をティッシュで拭いてきた。
近い距離に、ドキドキしながら先輩の態度が優しくなったことに安心する。
先輩を見上げる。
「何その顔。誘ってるのか?」
先輩が、私の涙を拭いながら少し笑った。
「えっ?」
「涙目で、上目使い…。確信犯だな。わざとやってる」
「わ、わざとじゃないですっ…」
竜也先輩は、また笑った。