――バスの中の路線図によると、駅までは七駅くらいで着くらしい。 鞄を膝の上に乗せるとファスナーを開け、中からピアスケースを取り出す。 真依子は小さくため息をついて、それから、ピアスを外した。 ケースを閉める音が誰もいないバスの中、静かに響いた。 ユウジはいつ気づくだろうか。あたしがいないことに――。