放課後。

私は、佳那汰と大和と春日ちゃんと一緒に帰っていた。

冬夜とひよりちゃんは、家が反対方向なのだ。

あの日から、なぜか、私は、クリスのことが頭から離れないでいた。

あの時に感じたクリスへの『思い』。

鮮明に残っていたのだ。

もう一度、会えないかなぁ?

そう思っていた時だった。

なんと、私たちの目の前にクリスが立っていた。

「‥‥陽菜‥‥‥。」

そう私の名前を呼んだクリスは、顔から血の気が引き、今にも倒れそうな状態だった。

その時、クリスの身体がグラッと傾いた。

「クリス!!危ない!!」

私はそう叫ぶと、クリスのほうへ駆け寄って行き、何とか、その身体を支えた。

「どうしたの?クリス?」

私は、びっくりして、クリスに尋ねるが、もう彼には返事をする気力もないようだった。

「‥‥血が、足りない‥‥‥。」

私にだけ聞こえる声で、クリスはそう言うと、私は彼を支えきれず、クリスはその場に倒れ込んだ。

「陽菜、コイツと知り合いなのか?」

そう言うと、大和が少し怪訝そうな顔で近づいてくる。

だが、大和は、人情味溢れる人だ。

目の前で倒れているクリスを放っておかず、肩に担ぐと、

「とにかく、陽菜の家に連れて行こう。」

そう言って、連れて行った。

だが、その時、春日が、クリスを凝視していたことには、私は、まったく気づかなかったのだった。