「『クリス』は、まだ見つからないのか?」

低く苛立つ声で、暗くて、顔は見えなかったが、玉座の横に立つ男の人は、そう言った。

「申し訳ありません。八方手を尽くして、手下の者が捜してはいるのですが…………。」

そう丁寧な口調で、すまなさそうに言った男の人の顔も、また暗くて、見えなかった。

「『ルイ』。」

玉座に座っている男の人が、初めて口を開き、その名前を口に出した。

そして、

「お前と『ヴァン』が行け。もし、クリスを見つけたら、その時は、『消せ』!!いいな?」

ルイと呼ばれた男の人にそう言った。

そして、ルイは、冷めた感情のないような声で、

「分かりました、『長』。」

と、言った。

ルイの顔も暗くて、よく見えなかった。