先週の始めあたりからずっと頭が痛い。
こめかみを指でぎゅっと押さえてから、カルテを開いた。
患者の名前を指でなぞった。
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朝の申し送りは夜勤からの引き継ぎだけで、特に変わったことはなかった。
死を待つホスピス病棟で、入院患者全員が朝を迎えた少しの安堵。
小さく気合いを入れて立ち上がると、ナースステーションを出た。
カラカラと押して歩くワゴンには、体温計と血圧計。ディスポの手袋に、聴診器。
それから、処方されたモルヒネ。
看護学生の頃は、教科書には載っていてもモルヒネなんて一生関わることはないと思っていた。
終末期医療に携わるようになってからは、モルヒネを当たり前に取り扱うようになった。
モルヒネでしか押さえられない痛みと闘う患者さんを、毎日看る日常。
目前に死が迫っているだなんて、考えられない穏やかさがここにはある。
穏やかさの下に、音もなく流れる大河のような逆らえない流れがあることも知った。