『黒崎李斗!いい加減起きないか!』






『…うっせ。まじ山岡の声響く…』





『わざと響かせてんだ、ボケ。顔洗ってこい。』






『…黒崎、相変わらずだね、奏。』






『李斗はいつもだからね。』







私は、立花奏(タチバナ カナデ)。
高校2年。


さっき怒られてた、黒崎李斗(クロサキ リト)とは幼なじみ。







『西野もどうにかならんのか。その不真面目さ。』






『…あーい。』







そう言いながら漫画を読み続けるのは、もう一人の幼なじみ、西野渚(ニシノ ナギサ)。





『立花ー、お前の教育がなっとらんぞー。』






『『おいこら。』』






『『奏を責めるのは違うだろ。』』






『す、すまん。』







『でたよ、姫。愛されてんねー。』






『そ、そんなことないよ。』







私は学年の人に、『姫』、そう呼ばれている。
その理由は見てわかるだろう。


李斗と渚に、守られているから。
李斗と渚は、陰で騎士と呼ばれるほどだから。





『とりあえずさ、奏は幼なじみ離れしないと彼氏なんてできないよ?』





『…んー。』







私はいつもこの話題になると、曖昧な返事しかできない。
幼なじみと仲良しなら彼氏できない。なんておかしいとおもうんだけどなー。