『あ、の、和泉さん?』






『さ!食べよっか!今日は俺のおごりだからさ!』






『え、でも悪いです。』







『俺が強引に誘ったんだし。食べよ』







近くにいる人。
誰のことを言っているんだろう。






『…あの、和泉さん。』







『冬華ちゃん家どこ?』






『え?』







『思った以上に遅くなったし送ってく。』






『え、でも』






『いいの。どこ?』







『駅の方…ですけど、』







『りょーかい。』







和泉さんのバイクの後ろにまたがり、どこに掴まるか戸惑う。






『ここ。』







そう言って、自分の腰に私の腕を巻き付かせた。





『危ないからね。ちゃんとつかまってて。』







それからは会話もなく、私の家まで送ってくれた。





『あの、ありがとうございます。』







『どういたしまして~。じゃね、冬華ちゃん。』






そう言っていたずらに笑うと、バイクにまたがり、行ってしまった。




どうして和泉さんはご飯に誘ってくれたんだろう。
こんなこと、あの場でぱぱっといえばいいのに。




なにか深い理由があったのかな。





そう思いながら家に入ると、ママの声が聞こえた。