『いらっしゃいませ!』






店員さんの威勢のいい声と、お客さんの話し声。






ファミレスに着き、席に座る。







『…和泉さん?』







『ん?』







『あのー…なんのご飯ですか?これ。』







『んー、親睦会?』







クスクス笑いながらそう言って淡々と注文を済ませ、水を飲む和泉さん。






『…冬華ちゃんのさっきの質問。』






『え、あ、はい。』







『どしたの?俺にそんなこと聞く子じゃないでしょ。』






『それは…、同級生とかに言われるし…』






『…ふーん。冬華ちゃんは好きな人とかいるの?』






ストレートに聞いてくる和泉さんには、まだ余裕が感じられる。






『…いないですけど、』







『そっか。俺はねー、いるよ。』







『…』







『いつもぼーっとしてるんだけど、一生懸命な子。』







和泉さんって、軽く見られてるけどほんとは真面目な人なのかもしれない…。





『…冬華ちゃん。近くにいる人を見逃しちゃダメだよ?』





『え?』







『俺みたいになっちゃうからね。』







そういった和泉さんの目は、悲しそうで。
何も声をかけられなかった。