「何でこうなるのぉ〜〜!」


叫び声を上げた菅野は、目の前の床に座り込んで泣き出した。


大粒の涙をボロボロ流し、まるで映画かドラマのワンシーンみたいに。



「…おいっ、何泣いてんだよ⁉︎ 」


寒がりのくせにこんな冷たい床に座んな。
ミニスカの下から、冷気が入るだろぉ。



……一緒になって床にしゃがみ込んだ。

菅野はグスグス言いながら俺の顔を眺め、何も言わずにまた泣いた。


「な……何だよ。一体……」


さっきまで飼い犬の土産何にしようか…って考えてたじゃねーか。
俺といる時よりも顔を輝かせて、嬉しそうな顔してただろ。


それなのに何だよ⁉︎
金持ってくんのでも忘れたのかよ⁉︎


「菅野……泣いてちゃ分かんねーだろ?ワケを言えよ。泣いてるワケを………」


うぐっ、うぐっ……と息を吸い込んで顔を上げた。

鼻も目も真っ赤にして、色気も何もねーけど………



(……可愛い顔してんなぁ……今日は特に………)




「わ、わだし……」


鼻が詰まって濁音発音になってるよ。
笑える〜〜。



「わだし……自分でぼ、だんで悲しいのが、わ……わからん…ぐっで………で、でぼぉ………」

「でも…?」


子供宥める気分になってきた。
菅野があんまグズグズ泣くせいだ。


「でぼぉ…………」






ぎゅっ。


(えっ……?)